フォト
無料ブログはココログ

« 2011年3月 | トップページ | 2011年8月 »

2011年4月26日 (火)

ぽぽんたやっちゃん

横浜人形の家で毎年開催されている「メルヘン人形劇フェスティバル」というイベントがあります。横浜周辺地域で活動しているアマチュア人形劇団が一堂に会して連続上演をしています。このフェスティバルで2008年から劇場の入り口前のホワイエで「パペットで遊ぼう」〜ふれあいコーナーという企画をはじめています。
劇場に人形劇を見に来てくれた子どもたちに劇人形にふれて遣って、小さな舞台だけど、そこに立って動かしてもらうという人形劇体験コーナーであります。
そのパペットで遊ぼうの場の中心になって動かしていたのが、「ぽぽんたやっちゃん」こと中村康子さんでありました。
ニコニコ笑いながらやさしく話しかけ、人形をわたして使い方を見せながら、まねをさせる。何もむりなことがなく、自然に子どもたちも笑顔になって夢中になっていく。やっちゃんの歌やことばが優しい世界を作り出す。一緒に来ているお父さん、おかあさんたちも子どもが普段見せない顔を発見できるのか、子ども以上に夢中になっている。
劇場で上演される人形劇を見て、合間に、この場所で実際にさわって体験し、また人形劇を見る。そんな豊かな空間を実現してくれたのがやっちゃんでした。
そのぽぽんたやっちゃんが病気で亡くなりました。あの笑顔を見られないことなど考えられないのですが、そうなってしまいました。
2008puppet
30年以上前から人形劇にとりくみ、「わたぼうし座」のやっちゃんとして広く多くの方々に知られていた方です。「わたぼうし座」を解散して「一人で何をやろうかな」とおっしゃって、やはり子ども達にふれあうような場で人形劇を教えたり見せたりマイペースでやっておられました。そうして生まれた「パペットで遊ぼう」でした。
やっちゃんの遺志をついで、今年もメルヘン人形劇フェスティバルでは「パペットで遊ぼう」コーナーを設置してやっちゃんといっしょにやってきたメンバーで子ども達の来場をお待ちします。
やっちゃんはいつも「みんなで作って、みんなで楽しむ場所なんだよ。いろんな人が出ていいんです」と言い続けていました。フェスティバルの人形劇とともに今年も皆さんに見たり遣ったり、楽しんでいただければと思います。

2011年4月12日 (火)

江戸糸あやつり人形座と結城座を見た。

東日本の大震災のあと、多くの演劇や人形劇が休演したり延期したり中止したりと舞台に関わる方は、大忙しの日々を送っていたのではないかと思う。さらに舞台に立っている人たちは、震災を被災した方々へ何をできるかということも考えているだろう。何ができるかはこれから先の話になっていくであろうと思う。
さて、その地震のさなか、今年の3月はなぜか、糸あやつり人形の劇団が立て続けに上演するようなスケジュールになっていた。当方で企画した19日の演目も糸あやつりの特集で考えていたが、会場が休館してしまったので、中止になった。これはいつか実現させたいと思っている。
状況は劇団によってまったく違い、ちょうど、震災の時に公演日だった「かわせみ座」は中止も延期もせず、上演して乗り切ったそうだ。
震災後、17日から下北沢で「江戸糸あやつり人形座」の公演があり、それは上演された。最終日を見た。
この劇団は結城座を抜けた結城一糸氏と先代の孫三郎こと田中純氏が組んで上演を続けている。結城座で培った技は見事で、魅了される。
見るたびに思うのは、子どもの頃から身につけた伝統の技はぶれが無く、表現がその上に加わって、とても楽しいし、目をはなせないところがある。伝統を守る劇団の枠を飛び出したことで、守ることより現すことに集中出来ているのかもしれない。遣い手がとても嬉しそうに遣っているのが印象的。
その結城座も3月中旬の上演予定がホールの地震をうけてのメンテナンスの都合で一週間遅れて初日をあけた。こちらは三島由紀夫の「現代能楽集」の舞台化。人形のデザインに漫画家、林静一氏があたっている。さすが女性の人形が美しい。結城座は役者と組んで舞台を作り上げることが多いのだが、今回は人形が全面に出ていて、原点に返った感じがした。
日本の伝統糸あやつり人形は人形遣が遣う部分が手板という平たい板にひょうたん型の穴が二つあけてあり、小さい板がシーソーのように動くような構造になっていて動かない部分と動く部分とそれぞれに糸がつなげてあり、人形のいろいろな動作を可能にしている。300年の歴史を持つ結城座とそこから新しい取り組みを生み出した竹田人形座がこの手板を基本にした伝統の糸あやつり人形で大きな流れをつくってきた。先に紹介したかわせみ座は竹田の流れをくむ。
文楽の伝統を守り続ける姿勢とは違い、糸あやつりの座は常に新しい挑戦を続けることが座の姿勢になっているのかもしれない。先進的な表現を探求し続け、伝統の遣い方や人形の構造を守りながら表現は常に新しいものへ目を向けている。伝統を壊すのではなく、その上に現代を表現する。
結城座、あるいは江戸糸あやつり人形座の公演があったらぜひ一度見ていただけるとよい。出来れば、古典と現代物の両方を見ていただけるとより楽しむことが出来る。

« 2011年3月 | トップページ | 2011年8月 »